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広瀬明久

ワンランク上のスペイン語 #2 進捗を確認する

更新日:10月15日

メキシコを含むスペイン語圏では、ポジティブなコミュニケーションが非常に重視されます。ビジネスパートナーやチームメンバーに仕事の進捗を確認すると、実際の状況にかかわらず、Todo va bien(全て順調です)という答えが返ってくることがよくあります。


これは、良好な関係を維持し、相手を安心させるためのものであり、実際にはプロジェクトに遅れが生じていても、表面的には問題が見えにくくなることがあります。この点は、より事実に基づいた進捗確認が求められる日本のビジネススタイルとは大きく異なります。

 

こうした文化的背景を理解しないまま進捗確認を行うと、後に予期しない問題が表面化するリスクがあります。そのため、スペイン語圏でビジネスを進める際には、具体的な質問を通して相手の本音を引き出すことが重要です。以下では、進捗を確実に把握するために役立つフレーズとその効果的な使い方を解説します。



¿En términos reales, cuánto hemos avanzado en este plan hasta ahora?

(実際のところ、この計画は今までにどのくらい進んでいますか)

このフレーズのポイントはen términos reales(実際のところ)という表現です。これを加えることで、建前ではなく事実に基づいた進捗状況を尋ねることができます。

ちなみにen términos realesに対してteoricamenteは「理論上」と言いう意味ですが、この言葉は「理論上はそうであるが実際は異なる」というニュアンスを含む場合がよくあります。少しきつい言い方ですが「理論でなく現実に基づいて答えてください」はPor favor, responda en términos reales, no teóricamente.となります。

 

¿En cuánto tiempo estimas que se puede finalizar esta tarea, basado en un cálculo realista?(この作業を完了するのに、現実的な計算に基づいてどれくらいの時間がかかると思いますか?)

basado en un cálculo realista(現実的な計算に基づいて)と明示することで、楽観的な返答を避け、現実的な見積もりを促す効果があります。プロフェッショナルなトーンを保ち、希望的観測に流されない具体的な回答を求める表現です。


¿Cuánto del trabajo ya está completado y cuánto falta por hacer?

(どれくらい作業が完了していて、あとどれくらい残っていますか?)

進捗の度合いを尋ねる際に役立つフレーズです。より具体的なパーセンテージを引き出すにはCuántoをQué porcentajeにするとよいでしょう。


¿Hay algo que podamos ajustar para cumplir con el plazo?

(期限を守るために調整できることは何かありますか?)

スペイン語圏では期限に対する厳密さが日本ほど高くないことが多いため、「調整」という柔軟な表現を使うことで、相手に圧力をかけすぎずに進捗を確認できます。しかし、時間を厳守しなければならないことを伝えたい時には、Es crucial que no se nos pase esta fecha ímite.(この期日を絶対に過ぎないことが重要です。)など言って釘をさすことが必要なこともあるでしょう。


¿Qué apoyo adicional consideras necesario en este momento?

(今、追加で必要な支援は何ですか?)

この質問を通じて、相手の進捗に何か問題がある場合、その問題が表面化しやすくなります。また、協力的な姿勢を示すことで、相手が安心して本音を伝えやすくなります。 

 

¿Podrías compartir algunos ejemplos de los logros recientes?

(最近の成果をいくつか教えてもらえますか?)

具体的な成果を尋ねることで、進捗状況をより詳細に把握できます。成果を明確に示すことで、プロジェクトの進行具合を理解しやすくなります。

 

異文化理解の視点

 

スペイン語圏では、相手にポジティブな印象を与えることが大切です。そのため、たとえプロジェクトが遅れていても、ネガティブな情報を避けて「順調です」と答えることが少なくありません。これは相手を失望させたくないという配慮から来るもので、問題があっても直接的に指摘されることが少ないのです。

 

この文化的背景に対応するためには、曖昧な返答を額面通りに受け取らず、具体的な質問を投げかけて本音を引き出すスキルが求められます。また、相手を責めるのではなく、協力的な姿勢を示すことがポイントです。こうした柔軟な対応が、プロジェクトを成功に導くためのカギとなります。

 

日本人ビジネスパーソンがスペイン語圏でビジネスを成功させるためには、ポジティブな言葉が現実を反映していない可能性があることを理解しつつ、相手が快適に本音を語れる環境を作ることが重要です。具体的な質問を通じて進捗を確認し、プロジェクトを円滑に進めましょう。


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