「私はカルロス・ペレスさんです」
日本語を習い始めて間もないメキシコ人が、日本語で自己紹介をするときに自分の名前に「〜さん」を添えることがあります。なぜ自分に敬称をつけるのだろうと不思議に思ってきましたが、その謎はすぐに溶けました。
メキシコでは、自分に敬称セニョール(señor / 英語のミスターに相当) やセニョーラ(señora / 英語のミセスに相当)を添えることがあるのです。
例えば、電話で¿Quién habla?(キエン・アブラ / どなたですか)と聞かれて、相手が始めての人の場合や、改まったシチュエーションの場合には、Habla el señor Juan García(アブラ・エル・セニョール・ フアン・ガルシア / こちらは フアン・ガルシアです。 )などと応えます。
セニョールやセニョーラを添えないと、馴れ馴れしいと受け取られることさえあります。(ちなみにスペインでは、自分に敬称をつけることはほとんどないそうです。)
一方、日本の習慣として、自分の上司であっても他社の人に対して敬称は添えませんが、メキシコでは敬称をつける場合が多いです。例えば「上司のグティエレスが戻ってまいりましたら...」はCuando mi jefe, el señor Gutiérrez regrese ... / クアンド・ミ・ヘフェ・エル・セニョール・グティエレス・レグレセ…)となります。これは他のスペイン語圏、英語圏でも同様です。
親密な関係にあれば、上司に対して敬称は不要です。失礼にはあたりません。
ただし、改まったシチュエーションでは、上司と親密な関係にあっても、第三者の前では上司の名前に敬称を添えます。
ところで、敬称と言えば、メキシコではいろいろな敬称が使われています。法律や経営などを専攻した主に文系の学士に対するlicenciado(リセンシアード)、エンジニアに対するingeniero(インヘニエロ)、建築士に対するarquitecto(アルキテクト)、会計士に対するcontador(コンタドール)などなど。
doctor(ドクトール)と言った場合は、「医者」の意味もありますが、博士号を持つ人に対する敬称でもあります。
名前を加えずに、licenciadoとかingenieroと呼びかけることも多いです。このような呼び方に最初違和感を覚える外国人も少なくないようですが、これもメキシコ文化のひとつなのでしょう。
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